生き方の心理学

【心理学】自己実現の方法|とにかく『得意なこと』を追求せよ

僕らは、自分のなりたい人間を目指したい、そう思っている。

しかし、具体的にどのように目指せばいいのか分からない、あるいは自分の目指すべき姿が分からないという人も多いのでないだろうか?

そもそも自己実現という言葉が世に広がったのは、心理学者マズローの『欲求5階層説』の影響が大きい。

この記事では、マズロー心理学を簡単に紹介していきながら、自己実現の方法について説明しようと思う。

自己実現とは何なのか

マズローの欲求5段階説

まず最初に、自己実現の定義から確認しよう。

冒頭でふれたように、自己実現という言葉が世に広がったのは、心理学者マズローの『欲求5階層説』の影響が大きい。

欲求5階層説は、心理学者アブラハム・マズローが人間の欲求を5段階に理論化したもので、下位の欲求が満たされると上位の欲求を満たそうとする理論である。

第1層:生理的欲求
第2層:安全の欲求
第3層:所属と愛の欲求
第4層:承認の欲求
第5層:自己実現の欲求

この理論は、心理学だけでなく経営学の分野にまで知られており、多くの企業が研修で紹介したことから世間に浸透したとされている。

では、欲求5段階説の最上位にある自己実現とはいったい何だろうか?

心理学者マズローは次のように定義している。

自己実現を大まかに、才能や能力、潜在能力などを十分に用い、また開拓していることと説明しておこう。自己実現的人間とは、自分自身を実現させ、自分のなしうる最善を尽くしているように見え、ニーチェの『汝自身たれ!』という訓戒を思い起こさせる。彼らは自分たちに可能な最も完全な成長を遂げてしまっている人々、もしくは遂げつつある人々である。
『人間性の心理学』より引用

この定義を噛み砕いて説明すると、自己実現とは『自分の才能を追求し、最高の自分になること』だ。

ここで違和感を感じる人が多いかもしれない。

なぜなら、世間一般では自己実現=”自分のなりたい人間になること”と理解されているからだ。

しかし、その理解は間違っている。自己実現は、自分の好きを追求するのではなく才能を追求するのだ。

できること・やりたいこと・役に立つこと

僕らが目指す人間像は、このような3つの軸で紹介されることも多い。

この図で自己実現を説明するならば、『好きなことの追求』ではなく、『得意なことの追求』となる。

※実際には、得意なことを追求し続けるには好きなことであることが必要になってくるため、『得意なこと=好きなこと』である場合が多い。

自己実現をしないと何がダメなのか

僕ら人間には欲求があり、下位の欲求が満たされると上位の欲求を満たそうとする。

第1層:生理的欲求
第2層:安全の欲求
第3層:所属と愛の欲求
第4層:承認の欲求
第5層:自己実現の欲求

自己実現を目指す人は、第1層~第4層の欲求を満たした人間だと言える。

欲求を満足する例
・食事や睡眠は十分取れている。(生理的欲求を満足)

・安定した会社に勤めている。(安全の欲求を満足)

・家族や恋人、あるいは仲間がいる。(所属と愛の欲求を満足)

・周囲から信頼や評価を得ている。(承認の欲求を満足)

このように欲求を満たしてきた人は、自己実現を無意識に求めるようになる。

しかしなぜ、僕らは自己実現を求めるのだろうか?自己実現をしないと何かダメなことでもあるのだろうか?

生きる目的が見つからず虚無感に襲われる

先ほど、自己実現とは『自分のなりたい人間になること』ではなく『自分の才能を追求して最高の自分になること』だと説明した。

つまり自己実現をしないということは、自分の秘めた才能をそのままにするということで、自身の成長を止めるということになる。

「もういいか…」と現状の自分に納得することは悪いことではないように思うだろう。

しかし、自己実現をしないと次第に欲求不満に陥り、「何のために生きるのか?」と人生の虚無感に襲われることになる。

これは自己実現をすることが人生の目的につながるからである。

関連記事:「生きる目的が分からない」究極の悩みを心理学で解き明かす

欲求の退行が起こり不健康に苦しむ

また、人間は自己実現の欲求が満たせないとなると、下位の欲求を満たして幸せを感じようとする。これを心理学用語で”退行”と呼ぶ。

退行の例
・自己実現ができない人間は、他人から認められれば良いと考える。(承認欲求への退行)

・他人から認められない人間は、仲の良い友人や愛する人が一人でもいれば良いと考える。(所属と愛の欲求への退行)

・親友・恋人・家族がいない人間は、安定した生活(職業)があれば良いと考える。(安全の欲求への退行)

・安定した生活ができない人間は、生きてるだけで良いと考える。(生理的欲求への退行)

心理学者マズローは、欲求が下位になればなるほど、健康を損なう可能性が高くなると指摘している。

第1層:生理的欲求、第2層:安全の欲求が満たされなければ肉体的な健康を損なう可能性が高くなり、第3層:所属と愛の欲求、第4層:承認欲求が満たされなければ精神的な健康を損なう可能性が高くなる。

つまり、自己実現をしないということは不健康への道を自ら選び、苦しむとことになるのだ。

欠乏欲求を追求してしまい人間性が低下する

加えて、自己実現よりも下位の欲求は欠乏欲求と呼ばれ、次のような特徴がある。

欠乏欲求の特徴
・欲求を満たすと飽きて当初の欲求を忘れてしまう

・欲求を満たせるのは、他人や物資のみで環境に依存してしまう。

欠乏欲求を満たそうと行動する人は、欲求が満たされたときに自分が何を求めていたのかを忘れてしまうため、

「自分は何のために頑張ってきたのか」
「自分は幸せなのか」

このような深い悩みに人生の終盤で直面することになる。

また、欠乏欲求は環境依存型であるため、欲求が満たされないと他人や組織・制度を批難する人間になってしまうのだ。

まとめる。

自己実現をしないと何がダメなのか?

・自分の人生の目的が見つからず、虚無感に襲われ続ける。

・健康を損なう可能性が高くなる。

・人生の終盤で「何のために頑張ってきたのか」と深い悩みに直面することになる。

・他人や組織・制度を批難する人間になってしまう。

自己実現をしなければ、自分の人間性を低下させるとともに苦しみ悩むことになるのだ。

自己実現の方法~自分の才能の探し方

何度も繰り返して申し訳ないが、自己実現とは『自分の才能を追求して最高の自分になること』だ。

自己実現をするためには、自分の才能を見つけなければならない。

では、どうやって自分の才能を探せばいいのか?

結論を言うと、“子供の頃”に得意だったことから自分の才能を見つけることができる。

 

子供は集団の中で自分の存在をアピールすべく、他の子供にはない自分の才能を敏感に感じとるのだ。

例えば、音楽の才能がある女の子がいたしよう。

彼女は何らかのキッカケで自分の才能に気づき、無意識にその才能を最大限に活かそうとする。

音楽によって彼女はみんなから注目され、それによってますます音楽が好きになり能力が向上する。

他を圧倒する能力を得た彼女を見て、僕らは「才能がある」と感じるはずだ。

子供の頃に得意だったことは、まだ成長する前の能力であるため、才能によるところが大きい。

子供の頃が思い出せない人は、強みの診断ツールを利用してみると良いだろう。

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自己実現をするとどんな良いことがあるのか

自己実現とは『自分の才能を追求して最高の自分になること』だ。

才能を追求するということは、自分の存在価値を高めるということにつながる。

当然、社会的な需要も高まり、人の役に立つことが自然とできるようになっていく。

 

さらに言えば、得意なことがいつの間にか好きになっている場合もある。

好きなこと、得意なこと、人の役に立つことの3つが重なった状態になるのだ。

できること・やりたいこと・役に立つこと

3つが重なると何となく充実した人生になりそうな気がするだろう。

心理学では、自己実現者の中でも限られた人だけが『至高経験』と呼ばれる体験をすることができると言われている。

至高経験とは、最高の幸福、あるいは最高に充実した瞬間のことだ。(至高経験を持つ自己実現者は”超越的な自己実現者“と呼ばれる)

まさに、限られた極一部の人間だけが到達できる領域なのである。

要点まとめ

今回は、自己実現の悩みについて書いてきた。

最後に要点を整理しよう。

要点まとめ

悩み:自己実現をするにはどうすればいいのか


自己実現とは『自分の才能を追求し、最高の自分になること』


自己実現をしないと、人間性を低下させるとともに人生の目的に苦悩することになる。


自己実現をするには自分の才能を見つける必要がある。


子供の頃に得意だったことが自分の才能であることが多い。


自己実現をすると存在価値を高められ、最高の幸福につながる。

自己実現は『自分のなりたい人間になること』とは限らない…これを繰り返し述べてきた。

自分の才能を追求し自分の最高の姿を目指す、これが自己実現だ。

心理学者マズローによると、自己実現を成し遂げる人は大人の1%にも満たないのではないかと考えられている。

それほど自己実現をすることは困難な道なのである。

しかし、自己実現を成し遂げた人間だけが、体験することができる幸福がある。

僕らはその幸福を感じることができるのだろうか。

この記事があなたの人生のヒントになれば幸いだ。